先日、精米ラインの新設工事を行いました。
低コストでありながら、お奨めできる精米機器を兼ね備えたラインを構築しております。
新たに精米事業を行ってみたいとお考えのかたや、今使っている機械が老朽化し、
設備更新を行いたいけど高いのでなかなか購入に踏み出せないかた、
是非とも御参考にしていただければと思います。
設置場所や環境にもよりますが、今から紹介するラインが400万円台で構築することが
可能です。まず、以下にラインの条件を列記いたします。
〇 ライン全体能力・・・250~300kg/h ※機器によってはそれ以上の能力が可能。
〇 基本的に一人で全ての作業を行います。 張込⇒玄米精選⇒精米⇒白米精選(砕米除去)
⇒白米精選(着色粒等の除去)⇒白米計量
※製品包装、米袋印字は見積除外
〇 集糠装置(サイクロン)はあるが、集塵装置による集塵はありません。
〇 色彩選別機は1次選別機のみ。原料に不良品が多く混じっており、一度の選別では除去しきれない
製品に対する色彩選別機への戻りラインは付けていません。ただし、選別機の流量を下げて選別精度を
上げることは可能です。
〇 電気配線(スイッチ)は直ブレーカーとし、操作盤でのスイッチ起動ではありません。
以上のような条件です。
これが、設置前の状況です。必要スペースとしては、縦3.5m、横4.5m、高さ3.5m
程度あれば設置が可能です。このスペースよりも広ければ、メンテナンスはもっと容易と
なります。
ライン構成は
石抜精米機 ⇒ 砕米除去機 ⇒ 昇降機 ⇒ 色彩選別機 ⇒ 昇降機付白米計量機
となります。
まずは、石抜精米機の紹介です。
タイワ精機製の石抜精米機『スーパーデュエット:ABS-500』を採用しました。
精米能力は約270kg/h、動力は三相200v 3.84kWです。
メーカーのホームページに動画がありますので参照ください。
http://www.taiwa-seiki.co.jp/products/supper-duet_abs/
精米機内に残った米も手順を踏めば排出可能ですので、コンタミネーションの不安も
ありません。ただし、動画にもありますが、精米直後の米は十分な圧力が加わって
いないため白くない米が出てきます。投入ホッパーに戻すことが必要です。
次に砕米除去機を紹介します。
丸七製作所の『エコーセレクター:R1』を採用しました。
小さい画像になっていますが、本当にコンパクトなんです。
選穀能力は400kg/h、動力は三相200vか単相100v 0.1kWです。
このラインでは100v仕様を採用しました。
メーカーホームページには動画はありませんが、機械の詳細がありますのでご覧ください。
http://www.maru-7.co.jp/products/view/67
機械の高さも調節でき、製品(良品)の排出口も配管に合わせて製作すれば繋ぎは良くなります。
除去された砕米も機械内にあるホッパーを引き出すだけでOKです。
ふるいの網目もオプションであるため、製品の品質を更に上げるために目幅を大きくすることも
可能です。交換も簡単に行えます。
昇降機の紹介です。
精研工業の『バケットエレベーター:BNC-1』を採用しました。
画像はBNC-2になります。
搬送能力は約1t/h、動力は三相200v 0.1kW(機長6.0m迄)となります。
今回のラインでは投入口をできるだけ下げられるように、横投入ホッパーを採用しております。
能力が最大3割落ちてしまいますが、流れてくる米が最大270kg/hなので、全く問題ありません。
こちらも詳細がメーカーのホームページにありますのでご覧ください。
http://seiken-kahoku.biz/products/BE/index.html
機械内に米が残らないようにエアーを用いて取り除く装置がオプションでありますが、搬送する
バケットのうち一つが掻き出しバケットになっているので、それだけでも殆ど残らなくなります。
品種を切り替えるときなどに、一番下の箇所にあるネジを外して掃除機で吸い取れば完璧です。
色彩選別機の紹介です。
製品情報でも紹介していますが、安西製作所の『選り助Ⅱ:LAK-700』を採用しました。
画像はLAK-350ですが、大きさは全く一緒です。
中にある選別シュートの個数が異なるだけです。
選別能力は最大700kg/h、動力は単相100v 0.22kWとなります。
LAK-350でも選別能力は最大350kg/hなので、ライン能力としては足りているのですが、
色彩選別機の選別能力はただ流すだけではなく、悪いものを除去するほうを重要視する必要があり、
原料の状態(品位、等級など)によっては流量を落としたほうが良い選別を行います。
http://www.anzai-mfg.com/publics/index/41/
こちらもホームページに動画が出ております。
以前に比べて色彩選別機の価格が下がっておりますが、中でもこの機械はコストパフォーマンスに
優れています。選別性能が高くて、100万円台で購入できる色彩選別機が出てくるとは数年前までは
考えられませんでした。
最後に白米計量機の紹介です。
タイガーカワシマの『白米計量機:HK-1800』を採用しました。
計量包装機は様々なメーカーで様々な仕様があります。全自動や半自動。手動式があります。
今回は包装機(シール機)を所有されていたため、計量機に特化して選定しました。
手動式の計量機となります。
昇降機とタンクが付いて、タンクの容量も50kg近く入ります。
計量精度も±5g(メーカー発表)と高く、計量設定値の約300g前になると開口ゲートが半閉になり
微調整を行います。
昇降機の搬送スピードも最大1,200kg/時あり、能力にかなり余裕があります。
敢えて言うなら、タンク部がプラスチックであるのでタンク内で静電気が発生しやすく、米が残って
しまいます。ただし、横の点検口からエアーガン等で吹けば簡単に落下させることができます。
昇降機内に残った米も下部のノブを外して引き出せば取り除くことができます。
http://www.tiger-k.co.jp/products/autumn/hg
これらの設備を並べて完成したラインがこのようになりました。
石抜精米機~昇降機までがこのような感じです。
昇降機はアンカーボルトで固定していますが、他の設備は動かすことが可能です。
砕米除去機の良品(製品)出口と昇降機の横受けホッパーは基本的に動かないよう固定して
いますが、ホッパー蓋は横から開けることができ内部清掃が可能です。
砕米除去機の金網は投入ホッパーを外して精米機の排出部を開けば機械を移動させなくても
取り出しできます。石抜精米機はキャスターで固定しているため、機械内部の清掃も引っ張り出せば
行えます。昇降機の上部点検に脚立が必要な程度です。(昇降機の高さ約3m)
昇降機から色彩選別機に投入する前に点検窓付きステンレスタンクを製作しました。
タンクの高さは50㎝で、色彩選別機も投入ホッパーが付いているので、約80kgの白米が入ります。
次ラインへの接続を踏まえ、45㎝の架台を製作しました。
色彩選別機の高さが110㎝なので、45㎝の架台を付けるとちょうど目線に操作パネルがある状態に
なるので扱いやすいです。また、不良品の取り出しホッパーも架台が高くなった分だけ作業負荷が
軽くなりました。
色彩選別機に付属しているエアーガンを用いれば、色彩選別機の内部清掃はもちろんのこと、昇降機の
内部及び下部、色彩選別機上のステンレスタンクや計量機のプラスチックタンクなど様々な場所の
清掃が可能です。
機械本体以外でライン構築を行うための主な付帯部品(製作物)は以下のようなものでした。
・砕米除去機の良品排出樋
・砕米除去機~昇降機への配管材料
・昇降機の固定金具(振れ止め等)、溶接冶具
・昇降機~色彩選別機上タンクへの配管材料
・色彩選別機上タンク(ステンレス製)及び色彩選別機下架台
・色彩選別機~白米計量機への配管材料
・白米計量機投入ホッパー蓋
設置環境等で設置据付に必要な物は変わりますが、概ねこのようなもので十分だと思います。
一から事業を行ってみたいと考えられているかた、設備を持っているが、能力が大きいばかり
だけではなく、設備全体が老朽化しているかた、その他色々な境遇をお持ちのかた、
これらの設備が何らかの御参考になればと思います。
御気軽にお問い合わせくださいませ。
2017年3月27日